ティッピング・ポイント
成功したスタートアップ的アプローチの裏では実際に何が起こっているのか?を分解してくれている本。
新装版の邦訳タイトルが「急に売れはじめるにはワケがある」でさらにサブタイトルが「ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」、、、みたいな感じなのでマーケティングに関するものと思われるが、いわゆるキャズムを超える仕組みの話。
- 作者: マルコム・グラッドウェル,Malcolm Gladwell,高橋啓
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2007/06/23
- メディア: 文庫
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コネクターやメイブン、セールスマンといった役割・メッセージの粘り・背景の力・150という小グループによるネットワーク的な広がり。このような各要素が組み合わさることで爆発的な効果を生み出す構造を説明している。
特に過剰なほどの情報の収集者であるメイブンと薄くて強いネットワークの構築者であるコネクターについては、その性格も含めたキャラクターの分離と比較は目からウロコだった。(今までわりとごっちゃに考えがちだったので)
結果的には選択と集中の話に帰着するかもなのだが、選択すべきポイントをついた場合にどのように効果につながるかの流れが興味深く読めた。
いわゆるリーン的なアプローチはより効果的な選択ポイントを探すための手法なので、本書のような効果をイメージして行うと良い感じで仮説検証できそうな印象を受けた。
このあたりの領域でHowに関する情報はわりと多くなってきているが、現象そのものをわかりやすく解説してくれている本書は上記観点でもとてもありがたいと思う。
また、スタートアップ的なヒットを生むための効果だけでなく、例えばメイブン・コネクター・セールスマンなどの役割分担を意識し背景を整えることで、組織やチームに対して新しい文化を根ざすことにも応用できそうな気がするなど「枠組みを変えること全般」に適用できそうな話だと思った。
後半途中からマーケティングなどの具体例に当てはめる際に、役割分担やメッセージの質の話をごろっとまとめたせいで少しぼやけたように見える部分があったが、キャズムを超えるためのメカニズムという部分を頭の片隅におきながら読むと置き去りにされないないような気がした。
あと、セサミストリートやブルース・クルーズなどのアメリカの教育番組の背景や効果などの話(番組作成のために行われた子供の注目に関する研究結果や繰り返しの意味)が今後の子育ての参考になりそうで、個人的なありがたポイントになっていたりする。
(いわゆる売れ線の表現にするためだと思うので仕方ないと思うが)タイトルに惑わされずに読んでみて欲しいオススメの一冊だと思う。
ちなみに、同じ著者の「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」は、タイトルを終始具体的に説明(アンチパターンも含めて)してくれているだけの印象だったので、個人的はこちらの方をまず読んだ方が良いと思う。